熊谷隆志 インタビュー

熊谷隆志 インタビュー

盛岡で一番オシャレな人間でいたかった

ファッションに興味を持ったのは小学校4,5年生くらいから。たのきんトリオがNIKEのterraを履いていて、それで自分の中でNIKEが刺さって、マッチがadidasを着ていて、adidasのトレーナーが刺さって、みたいな。その頃からオシャレしてて、盛岡という街で一番オシャレな人間でいたいと思っていました。常に洋服のことを考えていたから、必然的に洋服の業界に就くんじゃないかなって思ってましたね。だけど今は、その時代にタイムマシンで遡れるなら建築家になりたいんです。ファッション業界の20年サイクルのものはほぼ見てきたわけだから。あともう20年はやるんだろうけど、青い時代に遡って将来何やりたいですかって聞かれたら、建築家になりたい、って言いますね。


地方の子達をもっとおしゃれにしたい

昔は地方に面白いセレクトショップがたくさんあったんです。そこに若い人が通って、オーナーさんにおしゃれを教えてもらったり、店員さんの格好を見てかっこいいと思って真似したり。東京に限らず地方も盛り上がっていました。ただ、モールなどができたことによってそれが完全に崩れてきたように感じます。そういうところで売られている安価な服でよくなってきて、それがおしゃれとされている。そこを長い時間かけて直していきたい。地方の子達をもっとおしゃれにしないとダメだと思うんです。



僕の頭の中のアイデアをどれだけ最短で形にできるか

WIND AND SEAは展示会ベースではなくてオンラインベースで動いています。旬なものをすぐに出したいんです。僕の頭の中のアイデアを、どれだけ最短で形にして、店とオンラインに出せるかっていうところが勝負。 WIND AND SEAも普段もちろん着ているけど、NAISSANCEは完全に自分の私服、普段着です。例えば旅先でちょっとしたレストランに行くときにもすごく便利だし、ライフスタイルに沿ったブランド。WIND AND SEAはメッセージを伝えるブランドです。 


インスピレーショントリップ

僕は忘れっぽいところがあるから、目で見た情景をおさめたいと思ってランドスケープの写真を始めました。カメラと脳が一体化しているから、それが記憶になる。デジタルカメラだと何枚でも撮れるから、結局撮ってはいるんだけど見返さない。今でもランドスケープを撮る時はフィルムを使います。あとは旅が多いですね。日本にいるとめまぐるしいくて、考える暇もなく、頭に入らない。GDCをやっていた時からインスピレーショントリップみたいなもの大切にしていて、それがだいたいグランドキャニオンだったり、アメリカの砂漠だったり。そういうところからいろんなものをインプットをしています。



ライフスタイルの原点は生まれ育った家

僕のセンスだったり、ライフスタイルの原点は母親。母親が美大出身ということもあって、エメラルドグリーンとか、ちょっと北欧みたいなくすんだブルーとか、そういうのが好きで。家の壁紙やクッションがそういう色だったんです。とにかくすごい色に囲まれていました。イタリアンカラーというか。 そういう色彩の中で育ったというのが今の僕の原点だと思います。


ミスタージャンク

僕がものを選ぶ時は、デザイナーや値段、有名無名にこだわらない、ミスタージャンクです。高ければいいとか安いからダメとかは全くなく、いいものがいい。でも、高すぎるものはあまり買いません。昔は散財していましたね。来年で50歳になるのですが、80歳まで生きるとして、残り30年は捨てないだろうなっていうものを今では選んでいます。ものの情報は周りの人からが多いですね。ネットは昔よりは使うようになりました。例えば、”Marcel Breuer”って検索して、ebayでビンテージのいいものを探したり。あとは友人がやっていると応援したくなります。2,30歳台は、どんどんものが増えていって、もうモノ屋敷のようになっていたけど。40歳台半ば過ぎると自分の好きなことが限られてくる。これは違う、これはブレてるなって思ったものは手放す段階にきています。今は、ものが増えつつ減っていく。2割増えたら4割減っていく、そんな感じです。



半径15m以内で手に取れるものを集めました

HATCHのコンセプトである”人によるキュレーション”っていうのは面白いですね。honeyee.comでブログを書いていてものの紹介なんかもしていたけど、そのものを探して、実際に売るっていうのが新しくて面白いなと。セレクターとしていろんな方が参加されてて、そのキャスティングも好きですし、その中に僕が入ったってことはすごく光栄です。今回のセレクトでは僕の多趣味感が伝わっているかな。例えば、実は皿洗いが大好きとか。アルバイトで皿洗いしていたからすごく好きなんです。なんか落ち着くというか(笑)。あとは、まずは買いやすいものからセレクトしました。これからは、どんどん面白いもの、これ買えないだろってものもセレクトしていきたいと思います。僕も例えば、藤原ヒロシさんが買ったものを見て、これ面白いなー僕も欲しいなって探すことがあるけど、それと一緒で、僕がセレクトしたものに興味を持ってもらって、それが直接購買につながるってことはすごく面白いですね。


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